【展示レポート】やなせたかし展で心があたたまる一日|アンパンマンの原点とその先へ


あんぱんのように、やさしく、あたたかく。
今朝もいつものように、昨日録画したNHKの朝ドラ『あんぱん』を見ながら、ふと思いました。「アンパンマンの作者って、どんな人だったのだろう?」
その答えを探しに、私は京都駅直結の伊勢丹7階、美術館「えき」KYOTOで開催中の「やなせたかし展」へ足を運びました。


京都駅は相変わらず、キャリーケースを引いた外国人観光客で大賑わい。インバウンド需要の復活を肌で感じつつ、混雑を抜けて美術館の静けさへ。そこには、戦争、貧困、正義、そしてやさしさといった深いテーマを背負いながらも、子どもたちの笑顔のために描き続けた「やなせたかし」の世界が広がっていました。


正義とは、ほんとうは何なのか?
やなせ氏は「正義の味方は、ほんとうに強くなくてもいい。傷ついても倒れても、誰かのために立ち上がる存在であれば、それが正義だ」と語っていました。
アンパンマンは、悪を倒すヒーローではなく、「おなかがすいた子どもに、自分の顔をちぎって差し出す」ヒーロー。
それは、ただのキャラクターではなく、やなせたかし自身が戦中・戦後を生きるなかで培った「命の価値」そのものだったのだと思います。
展示では、アンパンマンの原画はもちろん、幻の絵本や、雑誌編集時代の作品、広告デザインの仕事まで幅広く展示されており、「一人の作家」ではなく「一人の人生」に触れるような体験でした。



あの名曲「手のひらを太陽に」に込めたメッセージ
意外だったのは、童謡「手のひらを太陽に」の作詞者でもあること。
「ぼくらは みんな 生きている」という歌詞の背景には、「戦争で命を軽んじられた時代への反骨」がありました。
子どもたちに向けた優しいメッセージは、実は深い哲学と社会への問いかけでもあるのです。



【おわりに】おすすめ展示情報:アートの夏をめぐる
やなせたかし展に心を動かされた方に、ぜひ訪れていただきたい展示会が他にもあります。
この夏は、「やさしさ」と「創造性」に触れるアート旅はいかがでしょうか?
■ 草間彌生 版画の世界

場所:京都市京セラ美術館
水玉模様で知られる草間彌生の版画作品が一堂に会する注目の展覧会。精神の奥底と向き合いながら生み出された作品群は、見る者の内面に語りかけてきます。
→ 詳細:京都市京セラ美術館 公式サイト
■ イタリア・ボローニャ国際絵本原画展

場所:西宮市大谷記念美術館
世界最大級の絵本原画展。子どもから大人まで心を奪われる作品が集まり、毎年多くの来場者を魅了します。今年は特に、感性豊かなイタリア作家の世界観が光ります。
→ 詳細:西宮市大谷記念美術館 公式サイト
アートで癒される夏を

暑さが続く毎日。時には涼しい美術館で、心を癒し、少しだけ“子どもの頃の気持ち”に戻ってみるのも素敵です。
やなせたかしが描いた「ほんとうのやさしさ」に、あなたも触れてみませんか?
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